熱いときに、好んでツルッと入る麺類を食べる日本人の感覚はすばらしいと思う。先日も、日本人の友だちのところへ行ったら、そうめんが出た。夏はひんやりとした麺類だよねぇ、と言いつつ食べた。
そこで食べ方の話になった。私たちは在米20年以上のつわもの達で、外国で麺類を食べる時はすすらなくなった。それがエチケットだからだ。たとえスパゲティでも、ズルズルと音をたてて食べてはいけない。外国人というか西洋人は、食事中に音を立てることを非常に嫌がる。スープもコーヒーや紅茶もすする音を立ててはいけない。
それから、食べ物が口に入っている時に話してはいけない。ちゃんと食べ物を飲み込んでから話さなくてはいけない。さらに、クチャクチャとかペチャペチャとか音を立てて食べては絶対にいけない。しかも、ゲップなんてしようものなら、まとまる商談がまとまらなくなってもおかしくない。
ひところ、「パワー・ブレークファースト」とか「パワー・ランチ」と言って食事をしながらのミーティング(会議)が流行った。そのころ、通訳としてそういう会合に雇われた事があるが、困ったのは日本側の偉いさんたちのエチケットだった。相手側も私も、見てみないフリをするのだが、総じて最低の印象を与えたに違いない。ほとんどが、スープをすすり、食べ物を口の中に入れたまま話したからだ。いつか、偉いさんの部下に、「どうして食べる時のエチケットを事前に注意しないのですか?」聞いたら、「それは無理ですよ。上司にそんなことが言えますか」と答えられた。上司でも同僚でも、出張先の最低限のエチケットを守ってもらうのは当然ではないか。
これは友人の体験だが、日本の新聞社から記者が来たてインタビューの通訳をすることになった。相手のスケジュールの都合上、遅いランチを食べながらのインタビューになった。記者がスパゲティを頼んだ時、友人はものすごく悪い予感がしたそうだ。案の定、その記者は片ひじをつけながらスパゲティを食べだした。当然のごとく、ズルズルと音を立ててすすっている。相手はちょっと眉をひそめながら質問に答えていたが、記者は全くそのようなことに気づかない。極めつけは、その記者がスパゲティの大きな皿をもって、かきこんだことだった。もう、相手も友人も驚きの余り、声も出なかったそうだ。
中には、自分は日本人なのだから、西洋のエチケットに従う必要なない、と強気の御仁もいるが、もし、そうなら、外国人が土足で日本の家の中に入ってきても文句は言えないことになる。
- 2008/07/12(土) 16:22:49|
- 習慣と文化の違い
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